AWSのネットワーク構築の基礎として、VPC(Virtual Private Cloud)の作成方法を解説します。この記事では、VPCを作成してサブネットを構成し、インターネット接続やセキュリティ設定を行うまでの流れを紹介します。
目次
この記事で作成するAWSリソース
VPCの作成
VPCとは
VPCは、AWS上でアプリケーションを配置するための仮想ネットワーク空間です。これにより、独自のIPアドレス空間を持つネットワークを構築し、アプリケーションやリソースを隔離して安全に管理できます。
サンプル構成
- VPC名:
sample-vpc
- CIDRブロック:
10.0.0.0/16
- IPアドレス範囲:
10.0.0.0 ~ 10.0.255.255
- この範囲内でサブネットを作成し、リソースを配置します。
設定手順
- AWSマネジメントコンソールで VPCダッシュボード に移動。
- 「VPCを作成」をクリック。
- 以下の設定を入力して作成:
- 名前:
sample-vpc
- CIDRブロック:
10.0.0.0/16
サブネットの設定
サブネットとは
VPC内のネットワーク空間をさらに分割し、リソースを配置する単位です。
CIDRブロックの考え方
- CIDR (Classless Inter-Domain Routing) は、IPアドレスをビット単位で表現する方式です。
10.0.0.0/16
はVPC全体のアドレス空間を示します。- サブネット内では次のようにアドレスを分割します:
- 先頭16bit: VPCのアドレス部分。
- 次の4bit: サブネットを識別するアドレス部分(16部屋作成可能)。
- 残り12bit: サブネット内リソースを識別するアドレス部分(4091個のリソースを配置可能)。
サンプル構成
- サブネット名:
sample-subnet-public01
- CIDRブロック:
10.0.0.0/20
- アベイラビリティゾーン:
ap-northeast-1a
(東京リージョン)
設定手順
- 「サブネット」セクションに移動。
- 「サブネットを作成」をクリックし、以下の設定を入力:
- 名前:
sample-subnet-public01
- VPC:
sample-vpc
- CIDRブロック:
10.0.0.0/20
- アベイラビリティゾーン:
ap-northeast-1a
インターネットゲートウェイの設定
インターネットゲートウェイとは
VPCを外部インターネットに接続するためのゲートウェイです。
設定手順
- 「インターネットゲートウェイ」セクションで「作成」をクリック。
- 名前:
sample-igw
- 作成したインターネットゲートウェイを
sample-vpc
にアタッチします。
NATゲートウェイの設定
NATゲートウェイとは
プライベートサブネットから外部インターネットへのアクセスを可能にするためのゲートウェイです。これにより、プライベートサブネットのリソースが外部から直接アクセスされることを防ぎます。
設定手順
- Publicサブネット (
sample-subnet-public01
) に NATゲートウェイを作成。 - Elastic IPを割り当てます。
ルートテーブルの設定
ルートテーブルとは
サブネット間やサブネットからゲートウェイへの通信経路を定義します。
設定例
- Publicサブネット用ルートテーブル:
- 外部向け:
0.0.0.0/0
→sample-igw
- 内部向け:
10.0.0.0/16
→ Local
- Privateサブネット用ルートテーブル:
- 外部向け:
0.0.0.0/0
→ NATゲートウェイ - 内部向け:
10.0.0.0/16
→ Local
セキュリティグループの設定
セキュリティグループとは
AWSリソースに対するネットワークアクセスを制御するためのルールセットです。
設定例
- ルールの種類:
- HTTP (ポート80): Webトラフィック用
- HTTPS (ポート443): セキュアなWebトラフィック用
- SSH (ポート22): 限定IPアドレスからの管理用アクセス
- IPアドレス制限:
- 限定されたIPアドレス(例: 組織のIP)を許可。
セキュリティグループ設定例
Inbound:
- HTTP (80): 0.0.0.0/0
- HTTPS (443): 0.0.0.0/0
- SSH (22): <特定のIPアドレス>
以上の配置で出来上がった図
まとめ
この記事では、VPCの作成からサブネット、ゲートウェイ、セキュリティグループの設定までの手順を紹介しました。この基盤を構築することで、安全で効率的なAWSネットワーク環境を作成することができます。次のステップとして、EC2やRDSをこのネットワーク上に配置し、実際のアプリケーションを展開していきましょう。
参考書籍
AWSではじめるインフラ構築入門 第2版 安全で堅牢な本番環境のつくり方
AWSは、初心者には、リソースの配置が難しく、挫折しやすいです。ですが、こちらの書籍は、リソースの解説があり、ハンズオンでAWSを構築できるのでかなりおすすめです。この本の通りにやれば、一通りAWSの構築ができます。さらに、記事では紹介しきれなかった、実運用に近いリソースの置き方を紹介しています。