はじめに
2024年11月27日、パナソニックホールディングス（以下、パナソニックHD）は、創業者・松下幸之助氏の思想や考え方を再現するAIを発表しました。このAIは、松下氏の経営理念を次世代に継承し、経営の指針を得ることを目的に開発されました。本記事では、このAIの開発背景や概要、今後の展望について詳しく解説します。
開発の背景
理念継承の必要性
パナソニックグループでは、創業者・松下幸之助氏の経営理念が社員の行動指針として重要な役割を果たしています。しかし、松下氏から直接薫陶を受けた人物が減少する中、グループ内でその理念を継承するための方法が求められていました。
松下氏が設立したPHP研究所では、「繁栄によって平和と幸福を」という理念に基づき、松下氏の膨大な音声資料や著作物を活用して啓発活動を行ってきました。今回のAI開発は、これらの活動にAI技術を取り入れることで、理念継承に新たなアプローチを加える試みです。
開発の概要
人物再現AIの技術基盤
このAIは
- 松下幸之助氏の著作物
- 講演や対談の記録
- 音声データ
を基に開発されました。東京大学の、松尾豊教授が代表を務める、松尾研究所と共同で技術開発が進められました。開発では「責任あるAI」の理念に基づき、人間中心の技術開発プロセスが採用されました。
Digital Humanの生成
本プロジェクトでは、「Digital Human」と呼ばれる技術が活用されています。これは、人間の思考や話し方をシミュレーションし、極めてリアルに再現する技術の総称です。これにより、松下幸之助氏の思考プロセスや判断方法をAIとして再現することが可能になりました。
デジタルヒューマンは、最近では、紅白歌合戦で、「AI美空ひばり」として話題になった技術です。
今後の展望
「松下幸之助」再現するだけでも、データの蓄積とAIに学習させることが必要です。
今回のAI開発を通じて、パナソニックでは、獲得する知見やノウハウをいかして、例えば多様化するお客様のご要望に対応できるパーソナライズドLLM（大規模言語モデル）技術など、今後の製品やサービスに応用するための研究開発を進めていくそうです。
道をひらく 松下 幸之助：